こんにちは、忠建築の上山です。
今回は、忠建築が得意としている「無垢材を使った家」が体にもたらす影響についてお話ししたいと思います。
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建物の仕上げ材は、大きく分けると「自然素材」と「工業製品(いわゆる新建材)」の2種類に分類されます。
自然素材とは、無垢の木材や和紙・珪藻土など、素材本来の質感や呼吸性を持ったもの。
一方、新建材とは、合板フローリングやビニールクロスなど、化学的に加工された製品のことを指します。
忠建築では、長年住まう家だからこそ、できる限り健康的で心地よい空間であるべきだと考えています。
そのため、床には無垢材を、壁や天井には自然素材のクロスを標準仕様としています。
今回は、その中でも、建物の基本である「木」が人の体に与える効果についてお伝えします。
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まずは「リラックス効果」について。
木の香り成分には、ストレスを和らげる作用があることがさまざまな研究で確認されています。
特にスギやヒノキに多く含まれる「フィトンチッド」や「セスキテルペン類」は、自律神経のバランスを整え、リラックス状態を高める効果があると言われています。
また、木の触り心地やぬくもりも、無意識のうちに心を落ち着かせてくれます。
硬すぎず柔らかすぎない無垢の床材は、足裏からやさしく安心感を伝えてくれるのです。
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さらに、木材の香りや空間環境が記憶力や集中力にも良い影響を与えるという報告もあります。
たとえば九州大学の研究では、スギ材の香り成分が脳の反応を活性化させ、視覚的な変化に対する気づきが高まることが確認されています。
これは、木に囲まれた環境が、ただ心地よいだけでなく、脳の働きにも良い影響を与えているということを意味しています。
また、木を多く使った空間では、作業効率や集中力が向上するという調査結果もあり、
お子さんの学習や在宅ワークをする大人にとっても、非常に魅力的な環境だといえます。
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こうした木の効果は、新築だけでなくリフォームや古民家再生でも活かすことができます。
例えば、昔の住宅に多く見られる丸太梁は、天井裏に隠れていることが多いのですが、これを表しにして「梁見せ天井」にすることで、空間に開放感やデザイン性が加わります。
実際に施工させていただいた現場でも、古い梁を見せた仕上がりにお客様が驚かれることがあります。
中には「これ、本当にこの家の木なんですか?」と聞かれることもあるほどです。
ちなみに、法隆寺の古材──1300年以上も前のヒノキ──でも、カンナで表面を削ると今もなおとても良い香りがするんです。
木がいかに長い年月を経ても、その持ち味を保ち続けるかを物語っているように思います。
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このように体に良い影響を与える木材ですが、柱や梁などの構造材をすべて隠してしまったり、
複合フローリングやビニールクロスばかりで仕上げてしまっては、その効果を十分に発揮できません。
だからこそ、忠建築では「自然素材に包まれた、健やかな空間」を大切にしています。
見た目の美しさだけでなく、心と体にもやさしい家づくり。
それが、僕たちがずっと大切にしている想いです。
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ここまで読んでいただき、ありがとうございました。