こんにちは、忠建築の上山です。
前回は、子どもの頃に宮大工を目指すきっかけになった話を書きました。
今回は、実際にその夢に向かって動き出した高校時代のエピソードです。
高校生の頃、とある本をきっかけに宮大工の棟梁・小川三夫さんを知りました。
法隆寺や薬師寺の修復にも関わったすごい人でありながら、「人を育てる」ことを何より大事にしている。
その生き方や考え方に強く惹かれ、「この人のもとで技術も心構えも学びたい」と思うようになりました。
でも、どうやって会えるのかも分からない。
悩んだ末に、まずは気持ちを手紙に書いて送りました。
正直、返事が来るかも分からなかったけれど、「想いを伝えることから始めよう」と思ったんです。
手紙を出してしばらくしてから勇気を出して電話をかけてみました。
すると、「今は弟子は取っていない」とあっさり断られてしまいました。
でも、どうしても諦めきれなかった僕は、「一度だけでもいいので、会って話をさせてください」とお願いしました。
そして夏休み、奈良の小川さんのもとを訪ねることに。
当日が近づくにつれてどんどん緊張が高まり、駅に着いたときには「やっぱり帰ろうかな」と本気で思ったほどです(笑)。
面会のとき、緊張しすぎて何を話したかはほとんど覚えていません。
でも、小川さんは「弟子を取るかどうかは、今は若い子に任せているから、栃木の作業場に行ってくれ」と言ってくれました。
その1ヵ月後くらいに栃木の作業場へ行きました。作業場に着いて中をのぞいた瞬間、また「帰ろうかな」と思いました(笑)。
中では先輩たちが無言で真剣に木を刻んでいて、近寄りづらいほどの雰囲気だったからです。
そこで工場を任されていた小川棟梁の息子さんの量市さんと出会い、いろいろと話をしました。
「まずは泊まり込みで見学して、自分でやれそうか考えてみろ」と言ってもらい、
冬休みに4日間、作業場に泊まり込むことになりました。
その間、仕事だけじゃなく、一番若い弟子がみんなのご飯を作るので、同じように朝昼晩のご飯作りや買い出しも体験しました。
慣れないことばかりで大変だったけど、不思議と気持ちは前向きでした。
「きついけど、やってみたい」そう思えたんです。
最終日、「やれそうです」と伝えると、「じゃあ、来たらいい」と弟子入りを認めてもらえました。
家に帰ってすぐに、料理の練習を始めるほど弟子入りへのやる気に満ちあふれていました。
次回は、実際に始まった修行の日々について書いてみようと思います。
ここまで読んでくださって、ありがとうございました!